中高年の引きこもり「8050問題」の痛ましい実態とは

中高年の引きこもり「8050問題」の痛ましい実態とは
散らかった部屋に引きこもる人の画像

皆さんは、最近よく耳にする「8050 (ハチマルゴーマル) 問題」のことを知っていますか?

50代になる子供が、80代の親に面倒をみてもらうことを指すのですが、これは近年、大変な社会問題にも発展してきています。

「8050問題」の原因には、中高年の引きこもりがあるのですが、今回はこの「8050問題」について掘り下げていきたいと思います。

そもそも中高年の引きこもりとは

内閣府の統計調査で現在、40歳~64歳での引きこもっている人の数は、全国でなんと 61万3000人もいると発表されました。しかも男女比では、その4分3が男性という結果です。

一般に引きこもりとは、他人や社会と関わりをもたず、自立や自活をしないで長期間孤立している人のことを言いますが、内閣府の調査では以下のような項目の該当者を広義の引きこもりと定義しています。


「 ふだんどのくらい外出しますか。」について、下記に該当する人

  • 趣味の用事のときだけ外出する
  • 近所のコンビニなどには出かける
  • 自室からは出るが、家からは出ない
  • 自室からほとんど出ない

かつ「現在の状態となってどのくらい経ちますか。」について、6か月以上と回答した人

ただし、以下に該当するような人については 回答状況や自由記述等の内容をふまえて判断したとしています。

  • 妊娠・介護などをきっかけに「現在の状態」となった人
  • 専業主婦や主夫、家事手伝いの人
  • 普段、自宅にいて「家事」「育児」「介護」などをしている人
  • 家族以外の人とも頻繁に(もしくはときどき)会話をしている人
  • 自宅で仕事をしている人
  • 自営業者や自由業者
  • 自宅でよくしていることに「仕事」と答えた人

内閣府の生活状況に関する調査 (平成30年度)


引きこもり期間は5年以上がもっとも多く、しかも「何もせずにほとんど家にいるだけ」と答えた人が目立ちました。引きこもり=ゲームやネットにハマっていると思いがちですが、中高年のひきこもりは、皆さんが想像しているより全く活動的ではないようです。

30代で仕事や対人関係でつまづいてしまったり、病気や退職をきっかけに、そのまま引きこもりの状態になってしまったケースが多いということもわかりました。

街を歩く人たちの白黒画像

「8050問題」の実態

8050問題の背景には、引きこもりの長期高齢化にあります。

中には様々な痛ましい事件も起こっており、問題が深刻化してきています。その代表的な事件をご紹介します。

札幌市内のアパートの一室でも1月、2人暮らしの母親(82)と娘(52)とみられる遺体が見つかった。娘は長年引きこもり状態だったという。道警は母親が先に亡くなり、一人になった娘は誰にも気付かれずに衰弱死したとみている。

道警の司法解剖の結果、2人の死因はいずれも低栄養状態による低体温症。母親は昨年12月中旬に、娘は年末にそれぞれ飢えと寒さで死亡したとみられる。捜査関係者は「2人は都会の片隅で誰にも気付かれずに亡くなった。何とか救う方法はなかったのか」と漏らした。

道警によると、1月6日午後、検針に来たガス業者が異変に気付き、別室の住民が室内に入って遺体を発見した。ストーブには灯油が入っていたが、エラーと表示され停止していた。冷蔵庫は空で、床には菓子の空き袋や調味料が散乱していた。室内には現金9万円が残されていた。

出典元: 北海道新聞 2018/3/5

他にも、東京・練馬区の住宅街で元農水事務次官の父親(76)が、同居する息子(44・無職)を刺殺してしまうという悲惨な事件は、皆さんの記憶にも新しいのではないでしょうか。

元農水次官、長男殺害容疑で逮捕」(時事ドットコムニュース

この事件は、引きこもりの息子が「何か事件を起こしてしまうのではないか」という父親の危惧から起こった事件でした。

親として子供がそんな事件を起こしてしまい、人様に迷惑をかけてしまうことが耐え難い不安だったのでしょう。

「8050問題」でさらに問題を大きくしているひとつの要因に、親が子供の引きこもりを恥ずかしく思うがために、 近所の人や職場など周囲の人たちからその事実を隠していて、なかなか行政や福祉にも相談できずに支援を受けられないことです。

また、別のケースでは親のほうが原因で、子どもが引きこもりになってしまうことがあります。いわゆる毒親と呼ばれる親の過干渉が子供の自立を妨げ、子供が自信を喪失してしまい、家から出なくなるという現象を生み出してしまうのです。

中には暴力で子供を支配し、子供が親から離れていくことを阻止しようとする毒親もいます。

子供は親の所有物ではないということ、親自身がいつまでも子供を養っていけるわけではないことなどの現実をしっかりと受け止め、我々も親と子の健全な関係の育成にもっと目を向けていかなければならないのではないでしょうか。

「8050問題」に良い解決策はあるの?

では、「8050問題」に具体的な良い解決策はあるのでしょうか。

「8050問題」でも懸念されているのは、親子ともに追い詰められ、知らない間に孤立化が進んでしまうことのようです。

よくニュースやインターネットなどでは「一人で抱え込まず、周囲に相談してください」と伝えています。

そこで頼れるのが、行政や専門家の力を借りることですが、効果的な方法としては、以下の3つが挙げられます。

  • 将来の経済的な危機感をしっかり子供に伝える
  • メンタル的な不安やプレッシャーを取り除く
  • 在宅でも就労できるような環境を整える

例えば、フィナンシャルプランナーから将来の経済的な問題を指摘してもらったり、臨床心理士やカウンセラーなどの精神面からのサポートをお願いするなども考えられますし、仕事もまずは自宅で作業ができるような軽い内職やインターネットを使ったパソコンの業務などからはじめてみるのも良いかもしれません。

引きこもっている人も、心の中では「このままでは良くない」や「働かなければ」といった焦りや将来への不安を抱えている人も少なくありませんので、親や周囲も一方的に引きこもっていることを責めたり、社会復帰を急かしたりするのではなく、一定の理解を示して、一緒に解決していく姿勢が必要なのではないかと感じました。

まとめ

今回は「8050問題」の実態についてお話してきましたが、10年後にはさらに高齢化して「6090問題」になっているかも知れません。これからますます少子高齢化となっていく中で、さらなる社会制度の改革が求められているのをヒシヒシと感じます。

今の私たちのためだけではなく、子供や孫の未来のために、これから先の社会のしくみについて真剣に考える時がきているのかも知れません。

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